【空を見上げて、旅する味わい】空知の実りをやさしく漬け込む、たびのそらの手しごと|砂川市 つけものや たびのそら

サオリ
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今回お伺いしたのは、北海道砂川市の「つけものや たびのそら」さん。
代表の岩淵さんは、仕入れから漬け込み、販売までを一人で担い、各地のイベントにも積極的に参加されています。手間を惜しまない漬け込みが生み出すその味わいからは、空知の恵みと人のぬくもりが伝わってきます。

株式会社たびのそら 代表取締役 岩淵真里子さん

砂川市役所で観光に携わった経験を経て、地域の魅力を“味”で伝える道へ。漬物の製造・販売から体験型イベントの開催、催事出店まで、すべてを一人でこなしながら、空知の恵みと人の温もりを届け続けている。

道央きらめく発掘大使 サオリ

幼少期を砂川市で過ごし、祖母の玄米漬が漬物の原点。
思い出の詰まった砂川市を、数十年ぶりに訪れた。

サオリ
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本日はよろしくお願いいたします。まずは「つけものや たびのそら」を立ち上げられたきっかけを教えてください。

岩淵さん
岩淵さん

もともと砂川市役所で観光に携わっていたんです。体験型観光の企画を担当していて、その一つに「漬物づくり体験」がありました。漬物ビュッフェが有名な地元のレストランの方に教わりながら、私自身も漬物を覚えていったのが始まりです。
「50歳になったら何か自分でやりたい」と思っていて、ちょうどその頃に転機が重なりました。空知は野菜が豊富で、規格外の野菜が行き場を失う現状を市役所勤務時代に見てきました。
それを活かせば価値をつけられる――そう考えて始めたのが「つけものや たびのそら」です。

(市役所勤務時代に体験型イベントを行っていた『砂川オアシスパーク』)
サオリ
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長く勤められた市役所を離れ、ご自身の道を歩み出されたというのは、大きな決断でしたね。

岩淵さん
岩淵さん

私の実家が砂川の中央市場で金魚屋をやっていたんです。当時は通路を人がすれ違えないほど行き交うのを見て育ちまして、やはり根底に商売に対する想いというのがあり、自分で何かをやりたいと思い続けていたんですよね。

サオリ
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そうだったんですね。お店の屋号『たびのそら』の由来も気になります。

岩淵さん
岩淵さん

観光を意識した名前なんです。市役所では“市民のために”と働いていましたが、協力してくださる方々も本業で忙しい中での参加で、本当にこれが誰のためなのか自問することもありました。それなら、自分が事業を通して地域を盛り上げたいと思ったんです。ただ、始めた時期がコロナ禍で、体験企画もできず、ましてや観光なんてとんでもないという時期でした。それでも、漬物を通して“旅先でゆっくりと空を見上げて癒されるような時間”を届けたい。そんな想いを込めて「つけものや たびのそら」と名付けました。

(『砂川オアシスパーク』から広がる砂川の空と遊水池、ピンネシリ岳の端影
サオリ
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スタートから大変なご苦労があったんですね。そんな苦労から誕生した「つけものや たびのそら」さんの素材や製法について伺っていきます。
素材はどのような基準で選んでいますか?

岩淵さん
岩淵さん

起業前より玉ねぎをメインにしようと決めていました。地元、砂川の井上農園さんから規格外で市場に出せない小さな玉ねぎを仕入れ、これを漬物にすることで、味は同じなのに廃棄されてしまう野菜を活かしたいと思っていたからです。ごぼうもまた、太く育ち過ぎてしまった滝川の平沢農場さんの「白肌ごぼう」という品種を使用しています。とても柔らかくて美味しいごぼうなんです。それなのに、市場には出せないなんてもったいないですよね。

サオリ
サオリ

なるほど。この二つの野菜を使用した商品「ごぼうのピリカラみそ漬」と「小玉ねぎのまるごと粕みそ漬」はあまり他所では見かけない漬物ですよね?

岩淵さん
岩淵さん

そうですね。素材と人との巡り合わせから生まれた、オリジナルの商品でして、当店の中でも人気ナンバーワンとナンバー2なんですよ。ありがたいことに、直売所でもこの二つを求めて足を運んでくださる常連さんが多いんですよ。

(岩淵さんが“人気ナンバーワン”と語る「ごぼうのピリカラみそ漬」)
サオリ
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今回はその2商品を、きらめくストア限定の詰め合わせに加えていただきましたね!ではそれら、漬物の漬け込みや発酵に要する期間はどれくらいですか?

岩淵さん
岩淵さん

農家さんから野菜の収穫の連絡が来たらすぐに取りに伺い、その日のうちに仕込みを開始します。やっぱり、長期間保存されるものを販売するので、鮮度には特に気を使いますね。まず、塩漬けで約1か月。その後、野菜の種類によって塩を洗い、2~3か月ほど味噌や粕に漬けて寝かせます。きゅうりのように一年中塩漬けの状態にしておくものもあります。ただ、ぬか漬けのように毎日かき混ぜる必要はなく、基本的には漬けたら触らない、というのがうちの特徴です。

サオリ
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漬け込みの期間を経て、ようやく食べ頃を迎える漬物ですが、その工程の中で、特に「ここだけは譲れない」と感じている部分はどんなところですか?

岩淵さん
岩淵さん

当店では、素材本来の味を生かすため、無添加で丁寧に漬け込み、発酵させています。昔ながらの製法にこだわるのは、時間とともに変化する酸味や旨味を楽しんでほしいから。漬け込む際に粕を何度も取り替え、色や味わいに変化を持たせることで、季節や発酵の風味を感じられる漬物を作っています。大量生産はできませんが、素材の味を生かし、手作りの良さを味わえる漬物をお届けしたいと思っています。

サオリ
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人気ナンバーワンの「ごぼうのピリカラみそ漬」をはじめ、ほかの漬物や味噌・三升漬もとても気になります。それぞれの漬物には、どんな味わい方や特徴がありますか?

岩淵さん
岩淵さん

そうですね「きゅうりのしょうゆ漬」は塩でじっくり漬け込み、旨みを凝縮しているんです。一度塩抜きしてから、醤油に漬け直すことで、シャキシャキと歯ざわりがよくなり、生姜の香りとなんばん(青唐辛子)の辛みがアクセントです。
「大根のレモン漬」は、砂川産の大根をさっぱりと酢漬にし、パック詰めの直前に生のレモンスライスを加えています。
それから「手づくり無添加みそ」は、自家栽培の大豆と北海道産の米麹、塩だけで仕込んでいます。大豆も機械を使わず手作業で潰す作業をしています。粒が残る場合もありますが、それもまた大豆の食感を味わってもらえたらと思います。
そして「三升漬」。これ、ちょっとした裏技がありまして、味噌とマヨネーズを1:1:1で混ぜるとまろやかな辛みが楽しめます。野菜のディップにもぴったりですよ。是非、生の味噌の味と共に味わっていただきたいです。

サオリ
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素材や味にこだわった商品ですが、ラベルデザインもとても印象的ですよね。
どんな想いを込めて作られたのですか?

岩淵さん
岩淵さん

漬物のラベルデザインは、砂川のデザイナーさんにお願いして作っていただいたんです。籠を背負った女の子が旅をしながら食材を集めていくようなイメージで、実はあの女の子、私がモデルなんです(笑)。もともと砂川市では「すながわスイートロード」としてお菓子のまちを打ち出していたので、漬物のパッケージも“ちょっと可愛くて、漬物っぽくない”、軽やかな印象にしたかったんです。

サオリ
サオリ

最後に、オンライン販売についてもお聞きします。ECサイトを通じて全国にお届けされていますが、商品づくりで特に大切にしていることはありますか?

岩淵さん
岩淵さん

やっぱり「樽出し」が一番美味しいと思っているんです。
きらめくストアでのご注文も、ご注文を受けてから樽から出して詰めております。その方が、一番良い状態でお届けできると感じているので。

サオリ
サオリ

樽から出したてを詰める――まさに“できたて”の味ですね。

岩淵さん
岩淵さん

そうですね。ECサイトは多くて目に留まるのも簡単ではありませんが、それでも届けたいのは“より美味しいもの”
工房の近くに農家さんがいらっしゃるからこそ、採れたての野菜をその日のうちに加工できる。その美味しさをできるだけ生かしてお届けしたいと思っています。

つけものや たびのそらさんの商品はきらめくストアでご購入いただけます。
北海道空知の恵みを丁寧に仕込んだ、たびのそらの味わいを食卓に、そして贈り物にも。

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